予備検証

低カリウム化後の可食部と根部のカリウム濃度の比較

小さな苗の可食部と根部のカリウム濃度の測定は、複数の個体の平均になるので、正確には測定できないが、可食部と根部のカリウム濃度は、ほぼ同じと考えられる。低カリウム化養液で栽培した後、可食部と根部のカリウム濃度を測定してみた。

可食部カリウム 80mg/100g
根部カリウム 39mg/100g

可食部:根部=2:1

つまり、根部のカリウムの50%の濃度が可食部に移動したと考えられる。

仮定

可食部と根部のカリウム量は同じ。

可食部の重量増加に比例して、根部のカリウムが転流する。

一方、可食部よりも根部の総重量が小さいので、総カリウム量でみると根部の方が少なくなる。

可食部総カリウム 1098mg
根部総カリウム 71mg

15.5 : 1 の割合になる。しかし、根部は培地に入り込んでいるので、完全に取り出すことは難しく、正しい値とはいえない。

 

植物体のカリウム量の変化

植物体が保持するカリウムの総量は、種の時に持っているカリウム量から始まって、外部からのカリウムを吸収してカリウム量が増えていく。

十分なカリウム量に達してから、低カリウム化養液に切り替えると、外部からのカリウム供給が途絶えるので、植物体のカリウム総量は一定値のままになる。

可食部の生長に連れ、不足するカリウムは根部から転流してくるので、可食部のカリウム総量は増加し、根部のカリウム総量は減少していく。

総カリウム

植物体のカリウム濃度の変化

カリウム濃度で見てみると、低カリウム化養液に切り替えた後、植物の生長につれて、カリウム濃度が低下する。しかし、根部からのカリウムの転流がある分だけ、カリウム濃度の低下が少なくなる。

カリウム濃度

透析患者が摂取できるカリウム量

血清カリウム値が、7.5mEq/L以上になると心停止に至ると言われている。血清カリウム値の正常範囲は、3.5mEq/L〜5.5mEq/Lと言われている。正常な範囲にするには、1日のカリウム摂取量を1500mg以下にすべきと言われている。

1日のカリウム摂取量1500mgなら血清カリウム値 5mEq/Lになるすると、カリウムを300mgとるたびに、1mEq/Lの血清カリウム値が上昇するとして、2250mgのカリウムを摂取すると7.5mEq/Lになり、心停止のおそれがある。

カリウム濃度が300mg/100gの生野菜の場合、750gを摂取すると2250mgのカリウムを取ったことになる。生野菜だけで、750gも摂取するのは大変であろう。3食、生野菜を食べたとしても、毎食、250g食べなければならない。通常、そんなに生野菜ばかりを食べないだろう。

しかし、生野菜だけの食事をしている訳ではない。カリウムは生野菜だけでなく、肉や魚にも含まれている。やはり、生野菜に含まれるカリウムは少ないほうがよさそうである。