背景
近年、カリウム濃度を調整した生野菜や果物が流通し、カリウム制限っが必要な透析(腎不全)患者の食事療法において大きな福音となっています。家庭用水耕栽培装置を使用すれば、自宅で手軽に新鮮で安全な生野菜を収穫することができる。
目的
家庭用水耕栽培装置で栽培した通常カリウムレタスと低カリウム化レタスを透析患者に食してもらい、血清カリウム値への影響を確認し、臨床効果の有用性を検討する。
対象と実験方法
対象
順天堂大学医学部附属練馬病院人工腎臓センターに通院する維持透析患者6名。
実験方法
株式会社アイティプランツ社のアイティプランターにて、水耕栽培された通常カリウムレタスを3週間、その後、低カリウム化レタスを3週間、通常の食事に加えて摂取し、透析前血清カリウム値の推移を観察した。
低カリウム化レタス | 通常カリウムレタス | |
カリウム濃度 | 65mg/100g | 248mg/100g |
摂取量 | 1食30g×4食分 78mg | 1食30g×4食分 297mg |
結果
通常カリウムレタス摂取時には、5.91mEq/lであった血中カリウム値が、低カリウム化レタス摂取時には、5.28mEq/lにまで低下した。
結論
カリウム濃度を抑えた新鮮野菜は、カリウム制限のある透析(腎不全)患者にとって有用な食材である。
家庭用水耕栽培装置で手軽に栽培できる低カリウム化野菜は、今後、広く臨床応用が可能であると考える。
本研究は、2016年6月12日に、第61回日本透析学会学術集会にてデジタルポスターで発表が行われた。